(台北 23日 中央社)日本統治時代に建設され、今年で落成100年を迎える台北市の総統府(旧台湾総督府)で24日、写真などを通じて庁舎の歴史を振り返る特別展が開幕する。23日に開かれた記者会見には、建物を設計した建築士、森山松之助の孫に当たる男性が出席した。
森山松之助は、台湾総督府営繕課の技師として1907(明治40)~21(大正10)年にかけて台湾に滞在し、台北州庁(現監察院)や台南州庁(現国立台湾文学館)など多数の官庁建築を手掛けた。台湾ではその多くが国定古跡として修復、保存、利用されている。
男性は、祖父が設計した建物は日本ではあまり残っていないが、台湾では高度な都市化の中でも古い建物が大切に守られているのが素晴らしいと称賛。もし祖父が今の台湾を見たら、自分は最も幸せな建築士だと誇りに思うだろうと感慨深げに語った。
文化部(文化省)の資料によると、台湾総督府が竣工したのは1919(大正8)年で、当時の東アジアで屈指の大きさを誇った。中華民国政府が台湾に移転した49年以降は総統府として使われている。98年に国定古跡に登録された。
記者会見では陳建仁副総統が、今回の特別展を見逃したら次まで100年待たなければならないと述べて参観を呼び掛けた。
(葉素萍/編集:塚越西穂)